にんにくの持つ効果・効能について

にんにくは世界中で親しまれている香辛料です。食べると健康に対する効果や効能があるということで、昔から薬として食べられてきました。しかし、それらは果たして本当なのでしょうか。ここでは、にんにくの持つとされる効果や効能について、科学的な根拠を基に検証していきたいと思います。

にんにくについて

にんにくは香辛料の一種で、世界中で食べられています。シベリアで発見され、その後他の地域に伝わったとされています。にんにくには「アリシン」などの栄養素が含まれており、これらがにんにくの健康効果の多くを作り出しています。日本においても、にんにくはスタミナ料理に使われる代表的な食材として、多くの人たちに親しまれています。また、一部ではがんの治療に効果があるとも言われており、にんにくの持つとされる健康効果には枚挙にいとまがありません。そこで今回は、それらにんにくの持つとされる健康効果について、科学的な根拠をもとに検証していきたいと思います。

にんにくに含まれる栄養素

ここでは、健康上の効果や効能を発揮するとされる、にんにくに含まれる栄養素をご紹介します。アリシンとアリチアミン、メチルアリルトリスルフィドの3つです。

アリシン

アリシンはにんにくのにおい成分です。20世紀半ばにアメリカの科学者によって発見されました。にんにくの持つ独特の香りはこのアリシンによるものです。アリシンには、非常に強力な抗菌・抗カビ作用があるとされています。にんにくを切ったり潰したりして、にんにくの細胞壁を壊すことによって産生されます。

アリチアミン

さきほど紹介した、アリシンに、チアミンという栄養素が結びつくことでアリチアミンになります。アリチアミンは、それ単体での吸収が難しいチアミンの吸収を良くする働きがあるとされています。チアミンは、炭水化物などの栄養素からエネルギーを作り出す働きがあるので、代謝を良くする効果が期待できます。

メチルアリルトリスルフィド

次に紹介する栄養素はメチルアリルトリスルフィドです。非常に長い名称の栄養素ですが、これもアリシンに関係しており、簡単にいうと、アリシンが空気に触れて酸化すると生成される成分です。メチルアリルトリスルフィドには、血液が固まってしまうのを防ぐ効果があるとされています。後で詳しくご説明しますが、動脈硬化を抑制し、血管が詰まるのを防ぐ効果があるため、心臓病や脳血管疾患を予防する効果が期待できます。

にんにくの効能

動脈硬化の予防

にんにくには、動脈硬化を予防する働きがあるとされています[1]。人間を対象に病気の発生を観察する研究(疫学研究)では、にんにくを食べている人ほど心血管疾患の発症率が低いことが分かっていました。これらの複数の研究結果から総合的に判断した結果、にんにくが動脈硬化を予防すると結論されました。

動脈硬化の原因は様々ありますが、その中でも血中脂質は大きな原因の1つです。血液中に存在する脂質が多いと、それが血管にたまり、酸化し、やがては固くなってしまいます。この固くなった状態が動脈硬化です。

にんにくはこの動脈硬化を防ぐ働きがあります。にんにくには、脂質を合成する酵素の働きを阻害し、血中の脂質を減らす効果や、脂質の酸化を防ぎ、血管の硬化を抑える効果などがあります。にんにくに含まれているこれらの効能が、動脈硬化の予防に寄与しているとされています。

大腸がんの予防

近年行われた疫学研究の多くは、にんにくにがんの予防効果があることを示唆しています。国立がん研究センターも、にんにくは大腸がんのリスクを下げる可能性大に分類しています[2]

なぜ大腸がんの予防になるのかについて、詳細なメカニズムは不明な点も多いのですが、にんにくの持つ抗菌性や発がん性物質の発生・働きを抑制する働き、壊れたDNAを修復する働きが関係しているとされています。

高血圧の予防

にんにくには、高血圧を予防する効果があるとされています。これは、次の研究に根拠があります[3]。この研究では、47人の高血圧患者を対象としており、患者ににんにくの粉末を摂取させ、その後の血圧の変化を観察しました。その結果、研究開始時には平均で102mmHgあった拡張期血圧(いわゆる下の血圧)が、12週間後には89mmHgまで低下していました。13mmHgの低下です。

この研究では、プラセボ効果を考慮するために、にんにく粉末を摂取したグループと、プラセボ(偽薬)を摂取したグループとに分けて研究を行っています。そして、プラセボを与えられたグループで意味のある違いが見られなかったことから、にんにくは、血圧を低下させる効果があると結論しました。

これは、にんにくがアンギオテンシン変換酵素の働きを妨げる効果があるからだと考えられます。アンギオテンシン変換酵素は肺で作られる酵素で、血圧を上昇させる物質であるアンギオテンシンⅡを作り出します。にんにくがこの酵素の働きを妨げるために、血圧低下を導いたのだと考えられています。

糖尿病の治療

にんにくには、糖尿病を治療する効果があるとされています。これは、2013年に報告された論文に根拠があります[4]。これは2型糖尿病患者を対象にした臨床研究で、60名を対象に行われました。

患者を2つのグループに分け、片方のグループには糖尿病患者に一般的に使用される薬のメトホルミン(血糖値を低下させる効果がある)を摂取させ、もう片方のグループにはメトホルミンに加えてにんにくの成分が入ったサプリメントを摂取させました。これは2週間にわたって行われ、その後に空腹時の血糖値を測定しました。

その結果、メトホルミンに加えて、にんにくのサプリメントを摂取したグループの方が空腹時の血糖値が低下していました。これは、にんにくの成分に血糖値を低下させる効果がることを示唆しています。糖尿病のもう一つの指標であるHbA1cには低下が見られなかったことから、まだ確実に糖尿病を治療すると言えるものではありませんが、今後の研究結果次第で、糖尿病治療に寄与することが期待されています。

薬剤からの肝臓を守る

にんにくを摂取することで、薬剤などの被害から、肝臓を守る効果が期待できます。これは、大量摂取した薬剤からのダメージを抑えることができたことに起因します。解熱鎮痛剤の一種であるアセトアミノフェンは、基準量以上に摂取してしまうと、そのほとんどは尿となって排泄されるのですが、一部は肝臓の酵素によって代謝されます。その過程で肝臓にダメージが及んでしまうのです。

2013年に発表された論文によると[5]、このダメージを、にんにくを摂取することで抑えることができたとのことです。詳しい作用機序については不明なところが多いですし、他の薬剤に対しても効果があるとか、飲酒や肥満による肝臓へのダメージを抑えることができるか等については不明ですが、にんにくの成分に肝臓を守る効果があることは間違いなさそうです。

まとめ

今回はにんにくの効能について解説しました。にんにくには多種多様な効果・効能があり、摂取することで多くの健康上のメリットがありそうです。これらを得るために、料理ににんにくを多く使用するのもいいでしょうし、サプリメントとして摂取するのもいいでしょう。それぞれの方法で上手に摂取してみて下さい。

参考文献

[1] Rahman, Khalid, and Gordon M. Lowe. "Garlic and cardiovascular disease: a critical review." The Journal of nutrition 136.3 (2006): 736S-740S.

[2] 国立がん研究センター. 日本人のためのがん予防法.

[3] Auer, W., et al. "Hypertension and hyperlipidaemia: garlic helps in mild cases." British journal of clinical practice. Supplement 69 (1990): 3-6.

[4] Kumar, Rahat, et al. "Antihyperglycemic, antihyperlipidemic, anti-inflammatory and adenosine deaminase–lowering effects of garlic in patients with type 2 diabetes mellitus with obesity." Diabetes, metabolic syndrome and obesity: targets and therapy 6 (2013): 49.

[5] Ademiluyi, Adedayo O., et al. "Modulatory effects of dietary inclusion of garlic (Allium sativum) on gentamycin–induced hepatotoxicity and oxidative stress in rats." Asian Pacific journal of tropical biomedicine 3.6 (2013): 470-475.