にんにく栽培を家庭菜園やプランターで行う方法を農家が伝授

古来より強壮効果の高さで知られてきたにんにくは、私たち現代人の健康維持に優れた効果を発揮する優れた野菜です。古くは紀元前3200年頃から栽培が行われていたと言われており、その効果はお墨付きと言えます。そのため、優れた効能を持つにんにくをご家庭で実際に栽培してみたい!と思う方は多いのですが、失敗したという声もちらほら聞かれます。今回は、にんにく栽培のプロである生産農家の方に上手な栽培のコツを伝授して頂きました!

上手なにんにくの栽培は土作りから! 抑えておきたいポイントとは?

ユリ科の植物の一種であるにんにくは、基本的には球根を植えるだけで栽培が始められる野菜です。栽培へのハードルは決して高くはありませんが、植える時期と土壌によっては失敗することも多々あります。上手ににんにくを栽培するには、9月末から10月上旬までの秋が最適なシーズンであり、私たち栽培農家はこの時期に一家総出で植え付けを行います。ご注意頂きたいのは土壌の性質で、酸性土壌ではにんにくは発育不十分で腐ってしまいます。このため、まずは土作りから始めましょう。一般的な黒土・赤玉土ならば基本的には大丈夫ですが、一度よく乾燥させて石などを取り除き、園芸用の「苦土石灰」を混ぜて土壌作りを行います。赤玉土・黒土の平均的な酸性度はph5.5前後ですので、黒土1kgあたり1.5g(小さじ半分程度)が理想的な分量です。ご家庭であれば、プランターに黒土を移しておおよその目方でもOKです。家庭菜園でにんにくの栽培を行う場合は、1㎡あたり100gを目安に散布し、鋤・鍬を使用してしっかりと混ぜ合わせましょう。しっかりと苦土石灰を混ぜ終えたら、今度は植え付けの5日~1週間前を目安にリン酸肥料・完熟堆肥を追加し鋤・鍬で深さ10cm程度まで掘り返しながら混ぜていきます。あまり多くても根腐れの原因となってしまいますので、袋に記載された分量を心がけましょう。

植え付けは時期が大切! ベストは夏の暑さが去った10月中頃から!

その地方によって気温は異なりますが、にんにくは暑さに弱いため、植え付けの時期を見計らうことが大切です。一言でにんにくと言っても、暑さに強い品種・そうでもない品種がありますが、おすすめの時期は夏の猛暑が完全に過ぎ去る10月中旬あたりから11月初旬までがベストです。薄皮をむかずに球根を優しく選り分け、植える前に一晩水に着けておくと発芽しやすくなります。大きめなサイズから15cmほどの間隔を空け、8~10cm程度の深さに植えていきます。この時、必ず芽が出る方を上にして植えてください。土は押し固めず、上からソフトに盛るような形にしていきましょう。園芸用プランターで栽培するときは、出来る限り大きめのサイズを使用し、密集させないことが栄養を行き渡らせるコツです。土が乾燥し過ぎているとうまく発芽しないため、植えたあとはジョウロなどで十分な水を与え、生育を見守りましょう。経過が順調であれば、1~2週間ほどで元気な芽が土から顔を覗かせるようになります。

にんにく栽培手順 フロー図

元気に育てるには追肥が大事!3週間毎の補給がおすすめ!

無事に芽が出てくれば、第1段階はひとまずクリアです。芽が3cmほどに伸びてきたら、今度は追肥を行って十分に養分を補給しましょう。目安となるタイミングは2週間毎で、有機肥料を追肥していきます。この時、土は掘り返す必要はありませんので、芽の周辺に撒く形で散布すればOKです。その後は3週間程度の間隔で2回ほど追肥を行い、乾燥し始めたら十分に水を与えて成長を促します。園芸用プランターでにんにくを栽培される場合は、十分な日射量がなければ成長しづらいので、芽の伸びが遅いと感じた際には設置場所を変えるなどした上で、こまめにチェックしていくとよいでしょう。家庭菜園などで栽培される方の場合は、土が乾燥しやすくなりますので、穴の開いた黒マルチなどを併用することをおすすめいたします。これは土壌の乾燥を防ぐとともに、日光を集めやすくなるというメリットがありますので、にんにくの成長を促す面で大きな助けとなります。水やりの目安は冬場に1週間に1回程度、土の湿り具合を見ながら行えば十分です。本格的な冬を迎えてから追肥を行うと根腐りの原因となりますので、追肥のタイミング・回数は要注意です。 芽が出るタイミングにもよりますが、遅くとも11月中までに追肥を終えるのがポイントだと言えます。

成長を見計らって芽かきを実施! 秘訣は生育の良い芽を一本残すこと!

冬から春先にかけ、にんにくの芽が10cmほどに育ってきたら、今度は芽かきの時期となります。2つ以上に分かれることもありますが、生育のよいものを1本だけ残し、残りは全て摘み取りましょう。この若芽は食材として食べることができますので、野菜炒めなどに混ぜて美味しくどうぞ。また、ユリ科の植物であるにんにくは、成長するにつれて花を咲かせるためのつぼみ(花蕾)が発生します。(生産農家では、これを「とう立ち」と呼びます。)これを残しておくと、栄養分がそちらに吸い取られてしまいますので、葉の先端より長く伸びた花蕾をこまめにチェックし、しっかりと摘み取っていきます。こちらも油料理との相性が非常によいため、美味しく頂くことができます。4~5月初旬はにんにくが大きく育つ時期ですので、量を少なくした追肥をこまめに行うことにより、一気に大きく成長させることができます。ご家庭で栽培される方は難しい作業ではありませんので、ぜひお試しください。

5月末から梅雨入り前は収穫時期! 見極めは葉の枯れ具合で!

GWを過ぎ、徐々に夏の暑さを感じるようになってきたら、にんにくの収穫時期はもう目前です。葉が枯れていてもにんにくは土から水分・栄養素を吸い上げて成長を続けていきます。にんにくの葉全体の3~5割が黄色く枯れてきたら、晴れの日を選んで収穫を行いましょう。この時のコツは、なるべく根に近い部分をしっかりと握り込み、一気に引き抜くことです。中途半端な加減で収穫すると、土壌ににんにくの球根が残って腐ってしまう、またはバラバラに分解してしまう恐れがあります。晴れた日を選んで収穫することにより、土が粘度を増して分解する危険性が減少します。収穫後にすぐにんにくを食べないのであれば、なるべく土がついた状態のまま乾燥させてください。土つきの状態は保湿効果があるため、日持ちがよくなります。また、土を洗い流すために水を使うのはNGで、水分を吸って分解する危険度が増えてしまいます。引き抜いて収穫した後は、軽く叩いて余分な土を落とす程度に優しく扱いましょう。

家庭菜園での栽培は要注意! ネキリムシによる虫害を防ごう!

ご家庭でプランターなどを使用してにんにくを栽培される場合はまず大丈夫ですが、家庭菜園などで栽培される方は十分な注意が必要です。にんにくを栽培する上でもっとも多い失敗の原因は、ネキリムシによる虫害です。これはカブラヤガという蛾の幼虫であるネキリムシが発生し、にんにくを食害することによって起こります。妙に枯れ具合が早いにんにくの葉を見つけた場合は、その株を注意深くそっと掘ってみてください。黒っぽい色をした芋虫状の虫がいれば、それがネキリムシです。これを残しておくと、片っ端からにんにくの茎・球根をかじって枯らせてしまいますので(根切り虫という名前の由来はここからきています。)、見つけ次第必ず捕殺しましょう。放っておくと畑全体に広がってしまいますので、発生確認後はこまめに様子を確認し、捕殺を定期的に行うことを心がけてください。都市部やマンション上層での栽培時にはあまりない虫害ですが、発生しないとは限りませんので、なるべく定期的ににんにくの生育状況をチェックすることが失敗しないコツと言えます。